ラレージャパン ディーラー様 情報
  ラレー、それともラーレー?  
 
2009/8/12
 
 

ラレー or ラーレー?

    私たちがRALEIGHを紹介しているとき、普通に「ラレー」といっています。発音は平板化してしまってますが、業界の年配の方は「レ」にアクセントがあるようです。しかし、ユーザー様で年配の方には「ラーレー」が馴染みがあるようです。
  以下は自分自身が捕らえていることで、先輩がたからご覧になられて、違ったことを書いているかもしれません。誤りなどあればご指摘いただきたく存じます。
 
     
 

ラレーとラーレーの経緯
そして70年代の
モーターバイクメーカーの
自転車輸入
英国車の今まで

 

  ラレーとラーレー、これは業界用語とユーザー様用語の違いのようです。自転車業界は大阪市、また堺市が自転車業界のポイントであるように、関西弁が業界の標準語化しているところがあります(方や、東京の秋葉原以西周辺などもまた自転車業界の礎の一方の雄でもあります)。たぶん関西弁風に、語尾にアクセントを置いてしまったと思います。その後、平板化して「ラレー」となったのでしょう。
  自身も、新家工業に入社するまでは、「ラーレー」と思っていました。入社後の実習でリムの現場の人が「ラレー型」と言っていたときに「それは違うだろう」と思ったりもしました。この「ラレー型」というのはリムでWO-3とされている形状のものです。リムに限らず、多くの部品で「ラレー型」というものが存在しました。それだけ日本の自転車産業に与えた影響は大きかったのです。これらも含めて、先輩たちは「ラレー」(「レ」にアクセントを置いて)言っていたようです。
  一方、「ラーレー」は、70年代にホンダさん(クルマ、バイクのHONDAさんです)が、子会社のアクトトレーディングさんでラレーの代理店をしたときに「自転車の外車、ラーレー」というキャッチで販売されたコピーが、年配のユーザー様の脳裏にあるのだと思います。当時は日本のモーターバイクが海外への輸入過多になり、それの均衡化として逆に海外から自転車を輸入をしたという経緯と伺っています。ホンダさんはラレー、じゃかなったラーレーでしたが、ヤマハさんはプジョーを、スズキさんはモトコンフォールを輸入していました。(モトコンフォールは今ではよくわかりません)
  当時は、完全な英国製、フランス製でした。先輩たちに影響を与えたように、また日本のJIS規格は英国を基準にしたように、当時の「ラーレー」は、日本に輸入されても完全に日本の規格に合致していたことに対して、プジョーはフランス規格で日本の規格とまったく合わない部品が満載されていました。しかし、当時はプジョーの方が市場に受け入れたようでした。専門誌さんの評価も大きかったと思われます。とにかくラレーはトップチューブが長く日本人に合わないという評価が痛かった。また、当時のスポーツ車では、ロードはイタリア、ツーリング車はフランスがお手本で、英国タイプはしばらく省みられなかったということも大きな要素であったと思います。
(余談ですが、国際規格なる自転車のISOは、プジョーの社内規格を下敷きにしたとも聞きます。寸法関係など、英国規格のインチを基準にした日本の現状に合わない部分も多いようです。さすがに公用語がフランス語たるISOの所以でもありますが、今後は日本も幹事国として立候補し認可されましたので意見も十分に反映されていくでしょう)


  日本の軽快車は、英国のロードスターが基本となり、実用車から軽快車になったように、日本のスポーツ車も、最初は27×1-1/4、あるいは26×1-1/4の細めのタイヤを装着した英国風のスポーツ車がお手本でした。早くから舗装率が100%であった英国ならでは細いタイヤのスポーツ車でした。しかし東京オリンピックあるいは力道山の愛車を境にして、イタリアタイプのロードが良しとされました。また、ツーリング車は当時の日本の舗装率の低さもあいまって、太目タイヤのフランス風のランドナーが紹介され、フランスタイプが主流となってしまいました。70年代はそれらをベースとしてからすでに久しい時代でもあったのです。
  専門誌さんも、英国風のスポーツ車を取り上げることは非常に少なくなり、その後日本には情報が少なくなっています。引き換えイタリア、フランスタイプは専門誌さんでも情報は多かったように思います。また、日本がせっせと輸出していたアメリカタイプのスポーツ車は、時折紹介されて「ヘンなスポーツ車と思われていました。マウンテンバイクの登場以来、アメリカブランドが市場を席巻している現在とは大きく違います。

  しかし、それでも真摯なマニアさんによって、英国タイプはしっかりと引き継がれていてたようです。以前はユーザー様にとって自転車の情報は専門誌からしか入手できなかったのに対し、インターネットの現在多くの情報が入手も出来、発信もできます。英国タイプの自転車の情報も積極的に発信されていることもいいことだと思います。ただし、かなりなエンスージャストの方にとっては、弊社扱いの「ラレーを、「それは違うだろう」と思っておられることがあるのをブログなどで散見されます。昔の英国車をよくご存知の方にとっては、そのオリジナルが良しとされるのでそれはそれで仕方ないでしょう。しかし、今でもノッティンガムで生産することは難しいことはわかってほしいなぁ・・・。

 
アクトトレーディング ラレー チラシ


ヤマハ プジョー チラシ


スズキ モトコンフォール チラシ



2005 ラレーアメリカカタログ
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  ラレーは、かつては世界一の自転車工場でした。フレームだけでなく、多くの部品も一貫生産し、20世紀初頭、リムも社内で生産していました。新家工業も1914年に日本で初めて鋼製リムの生産を行いましたが、生産方法を研究する際に、新家二代目が欧州各地の自転車メーカーを訪問し、最後にラレーの工場を訪問して、リム生産方法について大いに参考にさせていただいたようです。これはまた、アラヤとラレーのお付き合いは100年近いものにもなっているということです。
  しかし、残念ながら現在では生産を完全に中止しました。現在はオフィスのみで、自国のラレー販売と全世界のラレーのライセンス業務を行っています。ラレーは、英国、米国・カナダだけでなく、ドイツ、ベルギー、オランダ、デンマークといった西欧諸国のほか、南アフリカ、中近東、オセアニア、南アメリカ、中国、韓国、台湾など多くの国で、それぞれの国情にあった商品が販売されています。ライセンスのことなどで打ち合わせする英国ラレーの副社長は、還暦を超え長年ラレーだけでなく、ラレーグループであったスターメーアーチャーやブルックスでも経歴を持った方ですが、うれしいことにラレージャパンは一番英国らしいといつも言ってくれます。残念ながら英国では自転車の地位がまだまだ低く、ラレージャパンのような価格帯のものの販売が難しいらしいですが、アメリカラレーでは2009年よりクラブ何とかというようなモデルがあり、ラレージャパンが少なくとも影響を与えたようです。2005年カタログの見開きは、ラレージャパンがWEBサイトのトップページで紹介している文章をほとんどそのまま英訳してイメージとしているのにはびっくりするやら、ちょっと感激してしまいました。
  なお、世界の自転車3大メーカーは、英国/ラレーのほかに、フランス/プジョー、イタリア/ビアンキということらしいです。いずれも19世紀に創業しています。またいずれも自転車で創業し、モーターバイク、あるいは自動車にも着手しました。ラレーは結局バイクもクルマも途中撤退したのは、英国というクルマを売るのが苦手な国情もあったのでしょう。現在で英国ブランドのクルマメーカーは何社かありますが、大陸側のドイツやフランスあるいはイタリアのようにまで著名ではありません。また英国のそれらブランドはいまやブランドだけで、ほとんどがOEM生産という状態になってしまってます。
(上記の70年代のチラシ画像は、あるブログから拝借いたしました。このようなものもネットでアップされているということ、発信力の強さを感じます)

 
     
 

ラレーと業界用語

    「ラレー」は、その後お蔭様で(?)、一般的な日本語英語になりました。業界用語がユーザー様レベルまで浸透したようです。このラレーに限らず、業界用語がユーザー様段階まで浸透したのは、どうもマウンテンバイク以来増えたようです。たとえばカンチブレーキ、以前はユーザー様はカンティといっていたはずです。シートピラーは、シートポストに置き換わってしまい、「ピラー」段々死語になっています。リヤディレーラー・・・こんな言いにくいコトバ・・・今はリヤメカが主流ですね(アメリカ人でもまともにDerailleurと書ける人は少ないらしい、けれども彼らにはリヤメカという便利な言葉がありません)。他の産業と同じくギョーカイ用語が一般化しているのは、自転車でも同様なようです。でも、反面、リーム(「リム」のことです)とか、ペタル、ヘット(ペ「ダ」ル、ヘッ「ド」ではなく濁点で濁りません。いかにも軽く回りそうではありませんか)などといった味わい深い業界用語も消えつつあります。
  しかし、ラレーのWEBサイト、実際には「ラーレー」でも検索にかかるように、キーワードを埋め込んでいるのですが・・・(笑)。いずれにしてもRALEIGHという、日本人には発音の区別が出来ない「R」も「L」もスペルに含み、おまけに最後は「GH」の無声音で締めくくり。ネイティブは発音は日本人に出来るわけはありません。ラレー、ラーレー、ローリー・・・どうとでも聞こえると思います。(ローリーを検索ワードに埋め込むのを忘れました)
 
     
 

British Pragmatism

 

  ラレージャパンで、ずっとキャッチコピーとして使っている「British Pragmatism」。プラグマティズムというのは、実用主義と訳されますが、本来は哲学用語です。しかし、英国でなくて米国発祥の哲学用語です。これも英国のことをよく知っておられる方には、「それは違うだろう」と思われてしまうでしょう。でも私たちは哲学用語でなくて、日本語訳のままの実用主義ということで使っています。これはちゃんと英国ラレーのお墨付きももらっているものです。最近は営業に行っても余り説明することがないのですが、「実用主義」はラレーを扱い始めた当時、営業でよく使わせてもらいましたが、最近はあまり営業で使っていません。初心を忘れないためにも、くどくなってしまうのですが、下記にご説明したいと思います。

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英国の実用主義的なイメージを取り入れながら、日本市場向けに展開するラレーとアラヤのコラボレーションモデルです。ラレーについては、英国本国はもちろん米国やその他世界各国で販売されておりますが、英国・米国のものはデザインテイスト的にあるいはサイズ的に、どうしても日本市場や日本人に合わないものがありますが、その辺をアラヤでモディファイさせていただき、設計・企画をアラヤで見直しました。
英国といえばコートや陶器など伝統的な著名ブランドが連想されますが、共通して言えることは派手さはなくても、実用性と作りこんだものを感じる点があると存じます。そのような著名ブランドの実用性、作り込みには及ばないかもしれませんが、そのようなところを目指しました。ご用意させていただくモデルラインナップは、どちらかというとマニアックなユーザー様でなく、ちょっと自転車をはじめてみたいなと思っておられる30歳台以上の方になるかと思います。これらの方にとって、モデルのカスタマイズが容易であるとか、通勤用にいいなと思っておられる実用的なクロスバイクでアヘッドであろうとトリプルギヤ・フロントサスなど装備されていようと、またあるいはMTBにおいてフレームに盛りだくさんのフィーチャリングが装備されていようと、ご購入の際にはあまり関係ないと思いますが、ご入手されてから、ちょっと詳しくなった時点で、「あれも付いている、これも装備されている」と言うようにご満足いただければと思って設計しました。関西風に言えば「てんこ盛り」というのもコンセプトとなっています。また、ラレーらしさを感じるモデルのご要望も多く、今後クラシックスポーツあるいはレトロスポーツのようなモデルの展開も考えております。まずは5月中旬より出荷を開始する6モデルを紹介させていただいており、今後モデルを充実させていただきます。
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  上記は2003年の、ディーラー様へのご案内に使った文章です。6モデルというのは、フラットバーロード2モデル、クロスバイク2モデル、MTB2モデルの、当初の立ち上がりです。その後、ご支援もいただき、クラシックモデルであるCLBやCLSも追加され、ロード、ミニベロやその他の多くのラインナップをそろえさせていただくようになりました。
  もちろん、ディーラー様におかれてはご存知のように、ラレージャパンのモデルは、すべてアラヤで設計したものです。上にもかきましたように、世界各国で国情に合わせたラレーを展開しています。以前英国ラレーが日本人に合わないということであまり評価されなかったこともありますし、アメリカラレーは魅力的な商品も多いのですが、どうも日本人が持つアメリカブランドの自転車とはデザイン的に異なります。もっとも米国でも彼の地なりに英国風を演出したことによるものでしょう。
  ラレーを扱う前にも、弊社でも自転車のことはよくわかっている。アラヤで独自で企画・設計することも英国ラレーインターナショナルは快く了解してくれました。ユーザー様へはイメージのこともありますので、すすんでアラヤ企画ということは伝えておりませんが、特に質問された場合は、「英国ラレーとのコラボレーションで、日本にあった設計に見直している」とは伝えています。

 
     
 

日本発信のスポーツ車へ

    今後も出来る限りご期待にこたえられるよう、商品を考えたいと思います。また、英国ばかりでなく、日本という独自の文化も考えた商品もご提案したく思います。最近多く聞くことは、海外からは日本の自転車市場の面白さです。賛否はありますが、シングルスピード、ピストは、日本発信で全世界にブームを作りました。ミニベロは日本独自のもので、韓国、台湾にブームを作っています。著名なドイツデザインのフォールディングバイクは、日本が一番の市場だったそうです。ドイツのある油圧ブレーキメーカーの営業部長が、以前に来日したときに御堂筋でドイツ国旗を貼った小径車を見て「これは何だ?」と言いました。ドイツ人の彼も知らなかったのです。また、今では日本独自となってしまった、フランスタイプのランドナーやスポルティーフも健在です。そんな多くのスポーツ車のバリエーションがあるのは、海外から見ると非常に興味深いらしく、非常に注目されているようです。ピストは世界に広がり、ミニベロはアジアに広がり(これは余り西洋には広がないかもしれません。アジア独自の箱庭、あるいは盆栽文化に通ずるようです)、また日本で発達したランドナー、スポルティーフのような繊細な工作は、アメリカのハンドメードサイクルショーで年々加熱しているようです。
 
   

  スポーツ車は、まず欧州から自転車文化が発信され、その後マウンテンバイクが米国から発信されました。今後は日本が大きな発信源になるような気がします。「日本は多くの自転車の文化を持っているのに、現状を見ているとちょっと勿体ない気がする。」これは今年の台北サイクルショーで、とあるサドルメーカーの年配の会長さんから聞いた言葉です。今年の台北ショーでは一番印象に残った言葉でした。
  放置自転車やマナーの悪さも指摘されますが、これらも徐々にですが改善されているように思います。駐輪場も整備され、自転車道路もより実用的なものが考えられるようになりました。大阪のブロードウェイ御堂筋も両側の路側帯各2斜線が自転車道路になるようです。
  ラレーから、日本の自転車になってしまいましたが、2010モデルで別ブランドで展開も考えたく思います。「それは違うだろう」でなくて、「それはそうだ!!」と、少しでもご共感いただけるものを目指して。
今後もご支援、ご教授をよろしくお願いします。


日本イメージを前面にしたい
2010モデルのバナーです。
モデル詳細は、近々ご紹介
できると存じます。